どうしたのだろうと深空の顔を覗く。背の高い僕が空を見上げた深空を見下ろす格好だ。

「あのね、恒くん。きみは、ずっと私のお見舞いに来てくれるでしょう?」

「うん」

「それは、入院中限定のことなの?」

深空の言葉を図りかねて、僕はますますじっと深空の顔を見つめる。
深空は赤い頬をして、目を空から離さない。

「退院したら、もう私とは会わない?」

付け足しのようなその問いに、僕は深空の言わんとしていることがようやくわかった。
そして、僕も頬がかあっと熱くなるのを感じた。

「そんなわけない。退院したって、僕は深空に会いに行くよ」

「私からも……遊びに行っていい?」

「うん、もちろん」

「あのね、恒くん」

深空が言葉を切った。
それから、ようやく顎を引き、視線を僕に注ぐ。
大きなブラウンの瞳はたくさんの流れ星を映したせいか、きらきらしていた。

「私とずっと一緒にいてくれる?」

腕に食い込むほど力が込められた深空の手に、僕は自らの手を重ねた。
言わせちゃってごめん。そんなことを胸のうちで思いながら深空の小さな手をぎゅっと握った。

「うん、ずっと深空のそばにいる。絶対に離れないし、深空のことは僕が一生守る」

深空は大きな瞳を眇め、嬉しそうに微笑んだ。
目尻からぽろんとこぼれた涙は、星明りに反射して本物の宝石みたいだった。


八ヶ月後、彼女は退院し、それからずっと僕といる。