「渡、……渡、おい馬鹿。起きろよ……海は?なあ、海は?」

言いながら再び涙が溢れてきた。

ああ、もう取り返しがつかない。
渡は死んでしまった。

「渡、渡―っ!起きろよ、この馬鹿!カッコよくねぇぞ、こういうの!タチ悪ぃぞ!」

その後、僕はどうしたのだったか。
叫んだかもしれない。取り縋って泣いたかもしれない。
実際、何をしたか覚えていないんだ。

ただその刹那のほとばしるような激情。
言葉に尽くせぬ狂乱。

これほど壮絶な後悔があると、この瞬間まで僕は知らなかった。

僕がどれほど泣き叫んでも、渡のまぶたは閉じられ、鳶色の瞳はもう見えなかった。