翌朝は快晴で、抜けるような青空はサイクリング日和にも思えたけれど、気温が高くなるのも必然といった陽気だった。
僕は朝食を駅前のコンビニで二人分買った。おにぎりを三つずつとお茶のペットボトル。

リュックサックには昨日買った水着が二枚。
おそろいにしてやろうかと思ったけれど、渡の嫌そうな顔を見るために、僕まで恥ずかしいペアルックに参加したくない。海で見知らぬ人たちに妙な仲の良さを披露したくない。
デザインも色も違うものを用意した。

駅のレンタサイクルはデパートビルの一階部分で、ロータリーから横の路地に入っていくとある。僕はレンタサイクル受付近くのガードレールに腰かけ、先におにぎりを食べた。

食事と気温で、すでに汗が噴き出そうだ。これからもっと暑くなるだろう。

やがて腕時計が七時を指した。
渡は現れない。

ほら、見たことか。渡の方が遅刻じゃないか。まあ、あいつはアルバイトをしているから、案外昨日は忙しかったのかもしれないな。少しくらい遅れるのは許してやろう。
僕はいつ連絡がきてもいいように携帯を握りしめる。マナーモードにして、振動を感じられるようにしておく。

一時間待ったけれど、渡は待ち合わせ場所に来なかった。

さすがに遅いと、携帯に電話をしてみた。七回呼び出しベルが鳴って留守電につながった。大方ひどい寝坊でもしているのだろう。

僕は追加でもう三十分待った。
渡はやはり来ない。携帯は何度かけても8コール目の途中で、留守電になってしまう。

まったく、どうなっているんだ、あいつは。
業を煮やして、僕は家まで渡を迎えに行くことにした。