「っっっってぇぇぇ!」
渡が呻き、前かがみになる。
やりすぎたかなと内心ヒヤヒヤする。
何しろ、喧嘩というものをほとんどしたことがないのだ。加減なんかわからない。
すると頬を押さえたまま渡が顔をあげた。ぎりっと僕を睨んでいる。
「お望みどおりにしてやるよ!」
「おう、こいよ!」
半分強がって答えると、すぐさま渡の拳が僕の左頬にめり込んだ。
「うっわ……!いったぁぁぁ!」
「……もうおまえホント最悪。恒、マジ馬鹿。すげー馬鹿」
渡は再び頬をおさえ、僕はその場でうずくまった。
生きている実感、なんて方便で。
なんとか渡に活力を出してほしくて言ってみたけれど、これはだいぶ失敗だったみたいだ。
「も……やめよ。うん……生きてる実感ありまくりだけど、痛すぎ」
「自分で言って殴っておいて、リタイアとか、ホント有り得ない。おまえ死刑。今すぐこの池で入水自殺しろ!」
渡は罵っていたけれど、続ける気は僕同様ない様子だった。
僕らは自動販売機で缶ジュースを買って頬を冷やしながら電車に乗った。
渡の気持ちが紛れてくれたかといったら、けして成功はしていないと思う。
だけど、帰り道の渡は怒ったり笑ったりしてくれていたから、あの時の僕の行動はあながち間違いでもなかったのかもしれない。
そんな言い訳だけさせてほしい。
渡が呻き、前かがみになる。
やりすぎたかなと内心ヒヤヒヤする。
何しろ、喧嘩というものをほとんどしたことがないのだ。加減なんかわからない。
すると頬を押さえたまま渡が顔をあげた。ぎりっと僕を睨んでいる。
「お望みどおりにしてやるよ!」
「おう、こいよ!」
半分強がって答えると、すぐさま渡の拳が僕の左頬にめり込んだ。
「うっわ……!いったぁぁぁ!」
「……もうおまえホント最悪。恒、マジ馬鹿。すげー馬鹿」
渡は再び頬をおさえ、僕はその場でうずくまった。
生きている実感、なんて方便で。
なんとか渡に活力を出してほしくて言ってみたけれど、これはだいぶ失敗だったみたいだ。
「も……やめよ。うん……生きてる実感ありまくりだけど、痛すぎ」
「自分で言って殴っておいて、リタイアとか、ホント有り得ない。おまえ死刑。今すぐこの池で入水自殺しろ!」
渡は罵っていたけれど、続ける気は僕同様ない様子だった。
僕らは自動販売機で缶ジュースを買って頬を冷やしながら電車に乗った。
渡の気持ちが紛れてくれたかといったら、けして成功はしていないと思う。
だけど、帰り道の渡は怒ったり笑ったりしてくれていたから、あの時の僕の行動はあながち間違いでもなかったのかもしれない。
そんな言い訳だけさせてほしい。