二日後の午後遅い時間に、僕は上野駅で渡と再会した。
日に焼けた僕と引き換え、渡は白いままだ。バイト先と図書館くらいしか出かけていないんだろうなとわかる。

当時は上野駅構内にあったジャンボパンダ像の前で待ち合わせ、僕の荷物をコインロッカーに預けてから、二人でアメ屋横丁をぶらぶら歩いた。

魚や乾物の匂い。人混み、喧騒。
日曜で人出はすごく、ひどく暑い。

僕たちにはあてがなかった。食事には少し早く、かといってただ歩くのも手持ちぶさただった。
そのままなんとなしに交差点を渡り、散歩の足を上野恩賜公園にむけた。
公園は上野動物園に隣接している。鳩と親子連れが多かった。動物園の門前で一応「入る?」と聞くと渡は首を振った。

仕方なしに不忍池付近に下り、池の周りをぐるりと散歩した。池からどぶくさい匂いがした。

「ライギョ、いるかな」

「なにそれ」

「魚。でかいドジョウを想像するとわかりやすい」

「気持ち悪いな」

渡はライギョを知らないそうだ。僕も小さな頃、父親と釣りで見かけたくらいだけど。

「今度、手賀沼に釣りに行こうか」

僕が言うと渡は嫌そうな顔をした。首をぶんぶんと振って、拒否の姿勢だ。