久しぶりだ。こんなに、すっきりとした気分で目が覚めたのは。
「んーっ」と鼻から声を出し、布団の中で伸びをする。昨日動きすぎたせいで筋肉痛があるけれど、それが妙に心地いい。
わたしはベッドから降りて、カーテンを開けた。鏡に反射したような光が射し込み、目を細める。
ゆっくりと瞼を持ち上げ、そして感嘆の声を漏らした。
夜中に降ったらしい雪が、外の景色を白銀に染め替えていた。
窓を開けると、冴え冴えとした冷気が入ってくる。寒いけれど不快ではなく、背筋がシャンとする空気。
この部屋は二階なので、遠くの方で雪遊びをする子どもたちの姿も見えた。
今、翼たちがいるスキー場は、毎日これ以上の雪に囲まれているんだろう……。
翼の名前を思い浮かべると、切なさをやっぱり感じるけれど、前までのような重苦しさは伴わない。きっと昨日、泣きまくって少なからず整理できたおかげだ。
「今日でもう、四日目か」
わたしが逃げ出してから、すでにそれだけの時間が過ぎていた。
スマホが壊れているのを言い訳に、いまだ誰とも連絡をとっていない。一昨日の夜、家に嘘の留守電を入れたきりだ。