こんな美少年と同じベッドで寝ていたなんて、今考えると気絶しそうだ。今朝は動転していたから、全然気づかなかったけど。
あっ、そうだ、それで思い出した。わたしは彼に、お礼を言うために来たんだった。
「あの」
「ん?」
「昨夜は、助けてくれてありがとうございました」
今さらお礼を言うなんて、バツが悪くて声がくぐもる。
もじもじと両手の指をすり合わせながら話すわたしを、彼は無言で見上げている。
「それから、今朝は失礼な態度をとって、ごめんなさい。突然のことだったから、わたしビックリして――」
「見てたんだ」
「え?」
「ずっと見てた。君のこと」
わたしは口を開けたまま固まってしまった。
何を、言ってるんだろう……。恋愛ドラマならまだしも、出会ったばかりの赤の他人が。