「あー、ミツキちゃんのお兄ちゃんが告白してるー!」


突然、甲高い園児の声が響き、わたしと雄大くんは飛び上がった。


「ほんとだ、告白、告白ー!」

「がんばれー!」


男の子も女の子もわらわら集まってきて、雄大くんに集中攻撃をはじめる。最近の保育園児は、大人顔負けのおませらしい。


「ミツキちゃんのお兄ちゃん、この人のこと好きなんだー!」

「こ、こらっ! 大声で言うな!」


顔を真っ赤にする雄大くんと、騒ぎ立てる園児たち。その様子を見ながら、ふと、胸に違和感が芽生えた。

なんだろう……これ。何の違和感だろう。しばらく考えを巡らせて、ピンときた。

そうか、名前だ。


――『うん、ちゃんと着いたよ。ナオはどう? 泣いてない?』


冬休み、N駅で自宅に電話をかけた雄大くんは、たしかそう言っていたんだ。


「……妹さんの名前って、ナオちゃんじゃなかったっけ」