がくん、とノアの下あごが大きく揺れる。背中が反り返り、不規則に乱れた呼吸が今にも途絶えそうになる。
「ノアっ」
ベッドに身を乗り出し、わたしは彼の肩をつかんだ。
「タマ、ちゃん……」
「ノア!」
「昔、みたいに、抱きしめて……」
わたしは思いっきりノアの体をかき抱いた。
子どものころ、いつもそうしていたように。腕の中に彼を閉じこめて、甘い匂いのする首元に顔をうずめた。
――『大好き。ノア、大好き』
君と過ごしたまぶしい日々が、花開くように鮮やかによみがえる。
ああ……きっと。あのころよりも、もっと。
わたしは君のことが、大好きだ。
無邪気で、いたずらっ子で、そして誰よりもわたしを愛してくれた、君のことが大好きだよ。
「ありがとう……タマちゃん」