「ありがとうございます……旦那さん」
「うおっ。JKに旦那さんって言われるとキュンとするな」
「前から言おうと思ってたんですけど、JKって呼び方おじさんっぽいですよ」
「まじか」
大げさに肩を落とす旦那さんが可笑しい。第一印象でカツアゲされそうだと思ったことも、今となればいい思い出だ。
わたしはふと、この数日間のことを反芻した。
この町に来たのは、ただの逃げだった。だけどここで素敵な人たちに出逢い、かけがえのない思い出をたくさんもらった。
……大丈夫。
きっと、トモくんは大丈夫だ。
ノアも絶対に戻ってきてくれる。
今はそれだけを信じようと、わたしは改めて自分に言い聞かせた。
***
旦那さんとの話を終えた後、少し眠ろうと決意してベッドに入った。
神経が張り詰めているから、すぐには寝付けそうにない。そう思ったけど、意外にも眠りはすんなりと訪れた。