「よかったらあなたも一緒にどう?」
「いえ、わたしはトモくんを探しますから――」
同乗をすすめてくれるおばあさんに断りの返事をした、ちょうどそのときだった。
「子どもの靴があったらしいぞーっ!」
集落の方から、誰かが大声を張り上げた。わたしも他の三人も、いっせいに反応する。
そして次に聞こえた言葉は、わたしたちを絶望に突き落とすものだった。
「森の中だ!」
――戦慄が、体をつらぬいた。
森。そこに、トモくんの靴が。こんな、大荒れの天気の中で。
もしかしたら昼間に森で見かけた影は、トモくんだったのかもしれない。
くらりと頭が揺れて、気を失いそうになる。それを寸前で留めたのは、車から聞こえた声だった。
「なんで、あの子……森なんかに……」
口元を押さえる実里さんの両手が、見てわかるほど震えている。
「入っちゃだめって、あれほど言ってたのに……!」