私は目を疑った。信じられなくて、でも目が離せなくて。 瞬きするのも惜しい。けれどそう思うと、自然と一度瞬きをしてしまう。 そのあとに見えた彼の姿は、透けてなんかいなかった。 「…………………」 呆然とする私の耳に、予令のチャイムがやけに遠く聞こえた。 彼らは慌てた様子で、校舎の中へ走っていく。私は彼の姿が見えなくなるまで、目で追っていた。 『ソウ』。 明るく笑う、透明な男の子。