「……………」

「中野さん?どしたの」



見間違え?

いいや、そんなはずはない。

さすがにもう、そうは思えない。私は確かに見たんだ。透明な、彼の体の一部を。


「……………」


ただただ呆然として、彼を見上げた。

橋倉くんは不思議そうな顔をして、私を見ている。


言ったら、頭のおかしい奴だと思われるだろうか。まず信じてはくれないだろう。


橋倉くん自身は、なんてことない顔をしているんだから。