わからないままに彼の後ろを歩いていると、ふいに風がひゅうと吹いて、私のスカートを揺らした。
驚いて周りを見回すけど、近くの窓はすべて閉められている。
どこから吹いてきたんだろうかと思いながら前を向いて、そして私は思わず足を止めた。
ーーまただ。
また、透けてる。
階段をあがる、彼の足。
黒いズボンがほとんど透明になっていて、階段が透けて見えていた。
「……は、しくらくん」
震えた声で呼ぶと、橋倉くんはなんでもないような顔をして振り返ってくる。
そして、足が、と言おうとしたときには、また彼の足は元通りになっていた。