橋倉くんとは相容れない関係だって思っていたのに、どうしてそんな申し出をされるのだろう。



私が描いてるところなんか見たって、面白くないと思う。

盛り上がる話なんか出来ないと思うし。橋倉くんとなんて、尚更。



「あ、やっぱ部員以外がいたら、邪魔になる?」

「………そんなことは、ないけど……」



美術室には私ともうひとり、引退前ののんびりとした三年の先輩がいるだけだ。


そんなこじんまりした感じも好きだけれど、たまには人が増えるのもいい。


橋倉くんが来ても、先輩はなにも気にしないと思う。顧問の先生は普段ほとんど部に顔を出さない。



断る理由は、思い付かなかった。

だけど頷くのも、勇気が必要だった。



「じゃあ、いい?」

「………うん」

「やった。ありがとー」



橋倉くんの笑顔は本当に嬉しそうで、なんだかこちらまで嬉しくなってしまいそうだった。