「……そう、だったんだ。好きって言ってくれて、ありがとう」
ぎこちなく返事をした。他になんて言えばいいのか、わからなかった。
だけど橋倉くんは特に気にした様子も見せず、やさしく笑った。
「今から美術室行くんだよね?」
「そうだけど……」
「俺も一緒に行っていい?」
その言葉には、さすがに驚きを隠しきれなかった。
「え?」と眉を寄せて彼を見ると、「なにその顔」と笑われた。いやいやいや。
「なんで橋倉くんが一緒にいくの」
「中野さんが描いてるとこが見たいんだよ」
「見ても面白くないと思うよ……」
「俺が楽しいからいいんだよ。邪魔しないから。静かにしてるし」
だめ?と首をかしげられる。その仕草は彼に似合っていて可愛らしかったけれど、こちらは戸惑うばかりだ。