「か……彼氏!?中野の彼氏ね!?」
先生が興奮ぎみに私に詰め寄った。
びっくりしてのけ反る。ぶんぶんと首を横に振った。
「か、彼氏ではないです」
「は!?でも『世界のまんなか』って、そういうことでしょ!?好きなんでしょ!?」
うっ……と言葉につまった。
ちらりと見ると、先輩の顔にも『先を聞きたい』とわかりやすく書いてある。
どうして先輩と先生に、個人的な恋愛事情を暴露しなければならないんだ。
適当に誤魔化そうとしたけれど、よく考えたら先程の私の発言も悪かったと思い、観念した。
「………実は、まだ好きって言えてなくて」
顔が熱い。手の甲を頬につけて火照りを冷ましながら言うと、先生と先輩はますます瞳を輝かせた。
「その話、詳しく聞かせなさい中野!」
先生に強引に吐かせられる私を、先輩はにこにこしながら見つめていた。
「……変わったね。中野さん」
ふいに先輩が呟いた言葉が聞こえて、じわりと心に何かが溢れた。