「颯が言ったんだよ、これは私の才能だって。私、あきらめない。また颯と色んなとこ行きたい。颯を描きたい。颯がいなきゃ、私の世界は回らないんだよ」



私が君の世界のまんなかにいるなら、君だって私の世界のまんなかにいる。


誰だってそうだ。誰かの支えになって生きている。誰かの世界の歯車になって生きている。



それをちゃんとわかってほしい。外の世界に、君の居場所はちゃんとあること。君はこの世界に必要だってこと。



私の絵の主役は、やっぱり颯でなきゃダメなんだ。



彼は私の言葉を、涙の溜まった瞳で聞いていた。


笑顔をつくれなくなった彼はとても人間らしくて、私はそんな彼も素敵だと思った。



「………でも、外の世界は怖いよ。どんなに頑張ったって、誰とでも上手くはいかない」

「わかってる、私だって怖いよ。でもあきらめたくない」



ずっと苦しかった。


どうしても誰かに嫌われてしまう自分が嫌で、周りの人が怖くて、空気にばかり敏感になって。


だけどそんなの、みんな同じだ。


それでも君は前を向いて笑っているから、私は君がまぶしくて仕方なかったんだよ。