「この身体、実体はちゃんとあるし触れられるけど、本当の身体じゃないんだ。本物は今も病院で眠ってる」
「………………」
「本当の身体の体調が悪くなったとき、それに合わせてこの身体も不安定になるみたいなんだ。だからときどき透けてたんだと思う」
私は颯を見て、まるで綺麗な幻のようだと思ったことがある。
………本当に、幻だったなんて。
じゃあ、彼のすべてが消えたあのとき、颯の体調はすごく悪かったということ?
彼が消えてしまうという恐怖は、あながち間違いではなかったんだ。
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