「………………」
颯は本当に三年前私と会っていたんだと、ひどく実感した瞬間だった。
颯は、屋上の高い柵の前で立ち止まった。
何を言っていいかわからず、私は無言のままその近くに立ち止まった。
彼は少しの間校庭を眺めたあと、「俺さ」と言った。
「ずっと怖かったんだ」
ーーえ?
颯の口から飛び出た単語に驚く。
「……怖かったって………」
「理央がずっと会いに来てくれてたあの夏から少しずつ、理央が病院に来る回数が減ってさ」
………あ。
夏休みが終わって学校が始まって、私は部活に入ったから。
少しずつ少しずつ、颯のもとへ行くことが減っていったんだ。
「俺は山の方の病院に移って、ますます周りに人がいなくなって……このまんま理央との関わりが無くなったら、俺はずっと病院の中で、誰にも知られずに死んでいくのかなって思った」
……何度か訪れたことのある颯の病院は、眺めもよく綺麗なところだったけれど、とてもこじんまりとしていた。
患者の数も少なく、見舞いの訪れもほとんどない。
颯はそこでひとり、何を思って過ごしていたんだろう。