怖かったとか、そういうんじゃない。 ただ少し、ドキッとした。 なんて強い目で、こちらを見るんだろうって。 私が彼の上から退くと、橋倉くんはやさしい顔をして「大丈夫?」と訊いてくれた。 「だ、大丈夫………ありがとう。そっちはケガ、ない?」 「んー、ちょっと腰痛いけど、だいじょーぶ」 「ご、ごめん」 「いーえ。もう痛み引いてきたし」 橋倉くんは、人を安心させるような笑顔を浮かべた。