当たり前だけれど、部活生たちは動き回る。写真を撮りたいところだけれど、それは極力したくなかった。
この目で見る景色を描くこと。
それに意味がある。
生きてるひとの、一瞬の美しさ。
そのぜんぶをとらえることなんか、私にはできない。たぶん、この世の誰もできないと思う。
だけど私はひたすらに、それを追いかけて描く。
「…………………」
しばらくして一区切りついた私は、ため息とともにシャーペンを置いた。
だけど画板の上に置いたシャーペンは、コロコロと転がって地面に落ちそうになった。
ハッとして手を伸ばす。その拍子に身体のバランスを崩した。とっさにどこかに掴まろうとしたけど、もう遅い。
「…………っうわ」
まずい、落ちそう。ていうか落ちる。
頭打ったら死ぬかも、と嫌な考えがよぎった。
そして下を見て、私は目を見開いた。