同時にバチンッとブレーカーが落ちたような音がして、一気に視界が真っ暗になる。

「ちょっと、どういう事?来春、拓海、大丈夫?」

空くんの声だけがどこからか聞こえる。これじゃあ、みんながどこにいるのかわからない。

「……わからん、とりあえず俺が扉を開けに行く。お前らは動くな」

拓海先輩が動く気配がした。そしてすぐに、ガタガタッと何度も取手を引く音がする。

「開かない、閉じ込められたみたいだ。しかも、電気もつかない、ブレーカーが落ちたのか……?」

ここは窓がない。だから、電気がなければ一切光は入ってこないのだ。拓海先輩の告げた事実に、せめて電気さえついてくれればと思っていた私は、落ち込む。

「最悪だね、柊さんもお客さんが来たからって部屋を出たばかりだし、しばらくこのままって事?」

お客さん……たぶん、里衣子もその人の相手をしている。いつ終わるのかもわからないのに、こんないわく付きな所に閉じ込められるとか……最悪だ。

絶望的な状況に、カタカタと膝が震え出した。

「おい、さっきからなんで静かなんだ」

「来春、返事しなよ」

──どうしよう怖すぎる。

だってここ、幽霊出るとか言ってた。2人が声を掛けてくれるのは嬉しいし、飛びつきたいくらいなんだけど、なんせ余裕が無い私には、指ひとつ動かすことすら無理だった。

今、幽霊かゴキブリか好きな方を選べと言われたら、喜んでゴキちゃんとの対面を選ぶだろう。そのくらい幽霊は苦手なのだ。