「俺の鑑定では犯人は男だ。だとしたら、あの掃除係は別人と考えた方がよさそうだな」

あの防犯カメラの映像、遠いし画質も悪かった。
だから、格好だけで文さんだって判断してしまったんだ。

「それじゃあ誰が……」

「あの里衣子だったか、この鏡の取引先の長男と見合いがあったらしいな」

「はい、私も知らなかったんですけどね。でも、りぃは乗り気じゃないんじゃないかなぁ」

「それは、勝手に決められた相手だからか?」

「うーん、それもなんですけど……それだけじゃないっていうか」

そんな簡単な話じゃなくて、あくまで憶測だけど。りぃが縁談に乗り気じゃないのは……恐らく別の理由だ。

「たぶん、凪くんの事が好きだからじゃないかなって、思うんです」

「……あの庭師か」

「たぶん、凪くんもりぃの事を好きだと思います。って、女の勘みたいなものですけどね!」

でも、なんというかお互いを大切に思ってるような、見えない絆のようなものを感じた。

りぃの触れられたくない話題が出た時、さりげなく話を逸らしたあたり、怪しいと思う。