「あぁ、平気だ」
「拓海先輩の平気は信じられないです。無理は禁物ですよ!ほら、クッキーも食べて糖分補給です!」
「なっ……おいっ、んぐっ」
クッキーを一つ掴んで、拓海先輩と口に突っ込んだ。それを苦しそうに飲み込んだ拓海先輩。
部屋の温度が一度下がった気がした。
「あれ、この部屋ちょっと寒いですね」
「おい……」
腕を擦ると、拓海先輩の顔が鬼神のごとく怖い事に気づく。
──あ、あれ……何かまずった?
私は心の中で冷や汗をかいた。
「詰まらせたらどうする。お前は俺を殺したいのか」
「滅相もありません!その逆ですよ、生かしたいんです!」
「言動と行動がマッチしてないんだよ、お前は」
「ひいぃぃっ、お助けを!」
──すごい怒ってる!
どちらかというと、殺されそうなのは私だった。
「はぁ……お前と話すと体力使う」
「えぇ!?」
「うるさい、頭に響く」
──ひどっ、あんまりだ。
って、頭に響くって事は頭痛良くなってないんじゃん、この強がりめと心の中で文句を言う。
どっと疲れが襲ってきたのか、拓海先輩は深く沈み込むようにソファーに寄りかかった。