「りぃ、ちょっと休ませてもらってもいいかな?」
「……必要ない」
私の提案は、拓海先輩によって遮られる。
「あのですね、拓海先輩」
──そんな青い顔で言われても説得力無いし、どうしてこういう時に強がるかな。
「私の鑑定によると、拓海先輩はめっちゃ疲れてます!」
「……は?」
拓海先輩が、軽く目を見張った。
「なので、これから休憩します、決定事項です!」
「ぷっ、拓海先輩、来春は一度決めたら引かないので、諦めた方がいいですよ」
私たちの会話を聞いていたりぃが、くすくす笑う。拓海先輩は「うっ」と唸って、ため息交じりに頷いたのだった。
客間のソファーで香りのいい紅茶をいただきながら、クッキーをかじる。ふわりと広がる甘さに幸福感が全身に駆け巡ると、疲れが吹き飛ぶようだった。
「拓海先輩、頭痛はおさまりましたか?」
隣に腰掛ける拓海先輩に声をかけた。りぃは仕事関係のお客様が来たからと、今は席を外している。