「一応、カメラを確認したい」
「わかりました、警備室に案内しますね」
りぃが私たちを案内してくれるみたいだ。
──それにしても、警備室まであるんだ……。
家に警備室があるお宅なんて、そうそう無いだろう。改めて私、すごい人と親友だったんだなと今更ながら驚く。
「私は空さんをお手伝いするとしましょう。必要な道具もありましょうから」
「柊、お願いね」
「かしこまりました、お嬢様」
ドラマに出てきそうな、お嬢様と執事のやり取りに「おぉっ」と感激の声を上げる。
──私も人生で一回でいいから、執事に命令してみたいなぁ。
なんて、そんな事を言ったら、空くんにまたバカにされるか、拓海先輩から虫けらを見るかのような視線が飛んでくるかのどっちかなので、胸の内に秘めておく事にした。
「じゃあ、ついてきてください」
りぃが背中を向けて歩き出したので、私達は置いていかれないようにその後をついて行った。
倉庫を出て、画廊のような長い廊下を歩きながら、時々壁にかけられたユニークな絵を眺める。
──この絵、一枚一枚、いくらなんだろう。
そんな事を考えながら階段を下り、一階にやってきた。
「あれ、お嬢様」
そこで、60代くいらいのおばあさんと鉢合わせた。その手にほうきが握られている所を見ると、話に聞く清掃係の文さんなのだろう。
「文さん、ごくろうさま」
「お友達ですか?賑やかでよかったですね」
「ふふっ、はい。文さんこそ、膝は大丈夫ですか?」
──優しそうなおばあさんだな。
なんだか、田舎のおばあちゃんを思い出す。目の前の文さんはりぃを孫に向けるような、温かい眼差しで見ていた。