「足りない部品があるなら探して再鑑定。ただ破損が激しかっただけなら、鑑定はそれ以上できないから、アプローチの方法を変えなきゃでしょ。それなら、やるしかない」
「た、確かに……」
さすが、天才小学生。頭も良ければ技術もあるし、なにより私より精神年齢が倍上だ。本当に、頭が上がらない。
「空先輩、肩もみましょうか!」
「来春ってやっぱバカだよね」
拓海先輩に負けないくらい、空くんは毒舌だ。
「だって、空くんのこと尊敬してるんだもん」
「……あ、そう」
素っ気ない言い方なのに、その顔は明らか嬉しそうで、やっぱり空くんは可愛いなと思う。
「空の作業を待ってる間、俺らは調査するぞ」
「は、はい!」
おぉ、なんだかようやく探偵っぽくなってきたと少しだけワクワクした。でも、喫茶店のアルバイトのはずが、私はどうしてこんな探偵みたいな事をしているのか、時々不思議になる。それでもやり続ける私って、つくづく適応能力が高いな。
「倉庫に監視カメラは?」
「倉庫の入り口にだけ設置してます」
「誰かが倉庫に入った形跡は?」
「私たちが確認した時、部屋に入ったのは掃除係の文さんだけでしたよ。でも文さんは今年で63です、あんなデカイ鏡、持ち上げられないですって!」
──63歳かぁ……。
それだけで、無理だろうと思う。
これをご老体が持ち上げるのは、かなり無理がある。