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「……破損が激しすぎる」
鑑定を終えたのか、目を開けた拓海先輩は難しい顔をしていた。しがみついていた手を離して、拓海先輩の顔を覗き込む。
「拓海先輩、大丈夫ですか?」
私の気のせいならいいが、顔色が悪い気がした。
「……問題ない。それよりこの鏡、何か足りない部分がないか?」
「足りない部分……ですか?」
りぃが聞き返す。
「鏡の破片、装飾の一部、なんでもいい。それがないと肝心なエピソードに触れられない」
「こんなに割れてると、足りない破片があるのかすら分からないなぁ……」
困ってるりぃに確かにと思う。これじゃあ、破片がいくつ足りないのかなんてわかりっこない。
「それなら、僕が繋ぎ合わせてみる。なんとなく形になったら、足りない部分もおのずとわかるだろうし」
「え、このバラバラの鏡を!?」
空くんは自信満々に腕まくりをするが、目の前にある鏡は今日中に終わるのか、怪しいほどの破損なのだ。