「ゴホンッ……再度確認するが、依頼は鏡が割れた理由で間違いないか」

「はい、よろしくお願いします」

来春の親友、里衣子が肯定するように頷いた。感じる別の体温に集中するのは難しそうだが、これが俺の仕事だと割り切った。


「鑑定を、始める」

俺は気を取り直して、依頼品に意識を集中させた。






パラパラと何十、何千もの紙が暗い空へと吸い込まれていく見慣れた闇の中。俺は依頼品に宿る数あるエピソードの中から、目的のページだけを探す。

そして迷わず、光るページに手を伸ばせば、パァァッと光に包まれて俺は目を閉じた。

次に目を開くと、そこは先程いた倉庫の中だったのだが、すぐにいつもと違う異変に気付く。


──ザザッ。

視界が悪い、さっきからテレビの砂嵐のように映像が乱れているのだ。

──依頼品の破損が大きいからか……?