「来春、変な声出さないでよ」
「ご、ごめんね空くんっ」
空くんの呆れた顔に、恥ずかしくなる。
これじゃあ、空くんに子供だと思われてもしょうがない。
「空くんって、しっかりものだよね」
「来春が子供みたいなんだよ」
「あはは……」
やっぱり、そう思われてた。でも、空くんはここぞって時に涙を拭ってくれたり、頼りになるんだ。
「空さんってお呼びした方がいい気がしてきたよ」
「何言ってんの、来春、バカなの?」
空くんと軽くコントをかましつつ、私たちは例の鏡の前へとやってきた。
「これなんだけど……」
「わっ、話には聞いてたけど、かなりひどいね」
ミラーの周りを囲う薔薇の凝った細工、私の腰のあたりまである大きな丸い壁掛けの鏡。その肝心な鏡の部分がバラバラに割れている。
「鏡の下から中心に向かって亀裂が入ってる。これは、落とした衝撃で出来たんじゃないかな。鏡自体交換しないとリペアはきついね」
空くんがそう言うって事は、かなり状態が悪いという事だ。全員で困ったように、バラバラになった鏡を見つめた。