「すごい……あれが、全て人の手で作られてるなんて……」

「ここが、ママの工房……」

「優輝くん……」

──不安げな声……。
私は安心させるように、その小さな手を握った。

「傍にいるよ」

「お姉ちゃん……」

どんな結果が待ってたとしても、私は「頑張ったね」って優輝くんを抱きしめてあげよう、そう思った。

「伝えられるうちに、伝えとけ」

「拓海先輩……」

──それは、どんな気持ちで言った言葉ですか?

拓海先輩にも、お母さんに伝えたい言葉があったのかな。そう思うと切なくなる。


「うん!僕、離婚してても、ママが好きだよって伝えるんだ!」

勇気が出たのか、優輝くんが一歩を踏み出し、それに私達も続いた。

――カランッ、カランッ。

フカミ喫茶店より、少し甲高いベルの音。その軽快な音に促されて店内へと入る。

「いらっしゃいませー」

すぐに、店内奥から一人の女性が駆け寄ってきた。