電車で10分、隣駅にやって来た。

駅の東口から真っ直ぐに伸びた、オシャレなショッピング通りを、高校生2人にアンティークドールを抱えた小学生1人で進む。

かなり異様なメンツで道を歩く私達は、時々通行人に振り返られながら、駅から歩いてすぐにあるという『サロン・ド・モントレゾー』のお店を探していた。

「今って、本当に便利な世の中ですよねぇ」 

「……なんだ、藪から棒に」

ガン見していたスマホのナビアプリから、視線を拓海先輩へと移す。

「だって、お店の名前入力するだけで、迷わず辿りつけちゃうんですよ?」

「お前、ばあさんか」

「え、今の発言って、ババくさいって事ですか!」

──ショック……私、まだピチピチの16歳なのに。

そう言う拓海先輩だって、高校生にしてはおじいちゃん並に落ち着きすぎてると思う。

「まだお姉ちゃん若いよね、優輝くん!?」

「え、僕??」

私と拓海先輩の間を歩く優輝くんに同意を求める。

──お願い、若いって言って!!

そんな必死さで話しかけたもんだから、優輝くんは困ってた。


「ガキに絡むな」

「ぶぅー、なら拓海先輩が慰めてくださいよ」

「断る」

軽口を叩きながら歩いていると『目的地に到着しました』と携帯のナビが告げる。

道路を挟んで向かい、ホワイトの木製の扉以外はガラス張りで、店内が良く見えるお店がある。金の装飾がされたモスグリーンのチェアに座るアンティークドールに、宝箱の中におちゃめに入っているアンティークドール。

長い歴史を感じさせる重厚な雰囲気のフカミ喫茶店とは少し違った、明るい雰囲気なのにどこか不思議さを纏ったお店だった。