「お客様、こちらメニューです」
「あ……僕、苦いのは……」
確かに小学生にコーヒーって、苦くて飲めない子が殆どのはず。なのに空くんは、現在進行形でブラックコーヒーを飲んでいる。
空くんって、本当に小学生なんだろうか。こう……貫禄があるのだ、彼には。
「あー……深海さん、ジュースってありますか?」
私は静かに空くんから視線を外して、カウンターキッチンにいる深海さんに声をかけた。
「オレンジジュースと、アップルジュースがありますよ」
「どっちがいい?」
私は男の子に目線を合わせて尋ねる。
「じゃあ、オレンジジュース」
「すぐにお持ちしますね」
男の子の声が聞こえていたのか、深海さんが答えてすぐに準備にとりかかる。ジュースが出来上がったタイミングで、私はテーブルに運んだ。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう……」
男の子は片手でアンティークドールを抱えながら、器用にジュースをゴクリと飲む。
「依頼の事だが……」
拓海先輩はタイミングを見計らって男の子の前に座ると、そう声をかけた。
「これ、見てきたんだ……」
そう言って男の子がポケットから取り出したのは、ボロボロの1枚のチラシ。 その文面に目を走らせて、私は衝撃を受ける。
「え、何これ……」
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フカミ喫茶店では、アンティークに宿る
『記憶』、『想い』を読み取ります。
声にならないメッセージ、
知りたい方はぜひご来店下さい。
なお、料金は依頼により変動しますので、
来店時ご相談ください!
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