――カランッ、カランッ。
お店の扉が開いたのは、午後12時を回った頃だった。

「あ、いらっしゃいませー!」

元気よく声をかけて扉の方を見ると、控えめに開いた扉の隙間からビクビクと店内を覗いている小学生くらいの男の子の姿があった。

その手にはパイロットの洋服を着た男の子の人形があり、すぐに依頼だとわかった。

「あ、あの……」

「男のアンティークドールか……珍しいな」

パタンッと本を閉じた拓海先輩は、おもむろにカウンター席を立って男の子に近づく。

「……鑑定か」

「ひっ」

ドーンっと男の子の前に立ちはだかる拓海先輩に、男の子が小さく悲鳴を上げた。わかるよ、拓海先輩って標準でも顔怖いもんねと私は頷く。

一言目にアンティークドールか、二言目に鑑定かって、本当にアンティークの事しか考えてないのだ、この男は。

仕方ない、いたいけな男の子にトラウマを与えないためにも、ここは私の出番だと2人に近づく。