「俺は、母さんみたいな人と人とを繋ぐ鑑定士になる」

「あ……」

あんなに自分の力を嫌っていた拓海先輩が、その力を夢に変えようとしている。その姿にジンッと胸が熱くなった。

「お前は、俺を導く光になれ」

「拓海先輩……」

「だから、これからも手離すつもりは無い。結果、俺が持っていようがお前が持っていようが同じって事だ」

「は、はぁ……」

──そんな、自信満々に言われても……。

もしかして、遠まわしに傍にいていいよって、言ってくれてるのだろうか。

「わかりにく!」

ややこしい言い方をしないでほしい。拓海先輩に恋した身としては、好きな人の言葉には敏感なのだ。

「煩い、帰るぞ来春」

差し出された手に、胸がドキンッと跳ねた。恥ずかしさに負けたら、もう二度と手なんて繋げないだろう。
拓海先輩が好きな私としては、そのチャンスを逃したくないわけで……。

「はい!」

迷わずその手を掴む。
願わくば、この手が永遠に離れませんように。私と拓海先輩の運命がこの先もずっと繋がっていますように。

あなたの夢を、私も一緒に追いかけていますように。

私は欲張りにも、夜空に散りばめられた全ての星々に、そう願ったのだった。