「今日は調子が悪い……とか?」

そう言った瞬間、拓海先輩にギロッと睨まれた。

「ひぃっ」

──だから怖いって、ブリザード光線!
親の敵を見るかのような視線に、私は逃げ出したくなった。

「そんなわけあるか」

「はい、すみません……」

──私が悪うござんした!
とにかく、このペンダントが拓海先輩にとってどんな価値があるのかわからないけど。

「また日を改めれば、拓海先輩のその……不思議な力?」

「……鑑定だ」

「そう、その鑑定も出来るようになるかもしれないし、またチャレンジしたらいいんですよ!」

だって、今悩んでてもしょうがない。落ち込んで立ち止まるのは性に合わないのだ。

「私、今日初めてペリドットの宝石の意味を深海さんから聞いて、少しだけどあの人の伝えたかった事に近づけた気がしたんです」

些細な事だけど、今まで手がかりすら無かった私にとっては大きな進展だった。

「私も知りたいんです。あの人がこのペンダントを私に託した理由」

──ううん、知らなきゃいけない気がする。

悪しきものを払う太陽の石、ペリドット。そんな大層な力を持つ宝石を、他の誰でもなく私に託した理由を。