「鑑定は心を覗く事、そして逆に自らの心もアンティークに見透かされる事だって」

「……そうだ、俺は依頼人から目的を聞き、それを知りたいと願い、エピソードを覗く。だとしても、俺が母親の存在を恐れるだと……?そんなに俺は弱くない」

拓海先輩は……本心を知る事を怖いと思っている。
またそれを、弱さだと思っているのかもしれない。でもそれって、誰しも抱く感情だ。

「弱い事は、いけない事じゃないです」

「だから俺は弱くないと……」

「誰しも人の心を知る事は怖い、私だってそうです」

今だって、拓海先輩に自分がどう思われているのか、私の言葉に傷ついていないかとか、不安ばかりだ。

「でも、それでも知りたい……」

「来春……」

私は拓海先輩が好きで、大切な人の心ならなおさら、知りたいと思う。私は拓海先輩の惑う瞳を真っすぐに見つめ返した。

「怖くても知りたいと思う事を、やめたくないんです」

「…………」

「今の拓海先輩に必要なのは、自分の弱さを認められる強さです!」

「っ……!」

「拓海先輩は一人じゃないです、不安なら傍にいます。だからどうか、お母さんと向き合って……」

伝われ、伝われと、私は心の中で唱える。