『うるさい、耳が死ぬ、叫ぶな』

「あ、スミマセン」

電話繋がってたの、忘れてた。

『じゃあ、迎えに行く』

迎えに来てくれるという拓海先輩に住所を教えると、「待ってろ」と言って通話が切れる。拓海先輩が家にやってきたのは、それから30分後の事だった。


フカミ喫茶店から15分ほどの距離には、都内有数の星空スポットがある。昼間は近所の子供たちがサッカーをやっていたり、主婦の井戸端会議が聞こえたり、犬の散歩コースでもあり賑わっている公園だが、さすがにこの時間では静まり返っている。

「ここ、星空スポットなんですよ」

「へぇ」

私達は芝生に直に座り、遮る木々も無いため、肉眼でも鮮やかに見える星空を見上げた。

「…………」

「…………」

途切れる会話に訪れた沈黙。そういえば私、今日のバイトで拓海先輩と微妙な感じで別れちゃったんだと思い出す。

まるで、出会ったばかりの時みたいに話題が浮かばない。葬式なみの静けさの中、どうやって切り出そうかと焦っていると。

「……お前、話したい事があったんじゃないのか」

そんな私の心情を察したかのように、拓海先輩が沈黙を破ってくれた。