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「どうして私だったのか、その言葉の意味を知りたい」

あの、儚い微笑みの理由を聞きたい。

「だけど、あの人が誰なのか、知りたくても記憶が曖昧で、話せる事っていうとこれくらいしか……」

「……それだけじゃ、何もわからん」

「で、ですよねー……」

案の定、拓海先輩に呆れられた。

「しかたない、鑑定する」

「……鑑定??」

私の手の乗せられたペリドットの石に、拓海先輩は触れる。

──あっ……これはヤバイ。

必然的に重なる手に、ドキドキと煩くなる心臓。今は真面目な話をしてるんだから静まれと、心の中で葛藤する。

「…………」

「えーと、拓海先輩?」

返答くらいはしてください。めげないタイプですが傷つきやすいんですよ、これでも。

と、心の中でツラツラと文句をたれる。

「煩い、集中出来ない、話しかけるな」

今、胸にプスプスプスと3本続きにナイフが刺さった。

──出たよブリザード。
本当にこの人、容赦ないなと呆れた。