「母さんはこの歌を、俺と俺の大切な人のために贈る鍵なの……って言ってたんだけど、まさかこの歌が?」

「そうだ、必ずしも目で見て触れるものだけが鍵じゃない。このわらべ歌こそ、鍵だった」

──えぇっ、そんな、まさか歌が鍵だなんて。

でも、それをどうやって使うのかが、最大の謎だ。

「空はこの鍵穴以外は木で出来てると言ったな。それを証明するかのように、重量も軽い」

「うん」

「後は、この箱から鳴る2つの音」

確か、何かが擦れる音に転がる音が聞こえたんだっけと思い出す。

「このうちの一つはこの箱に隠された宝、そしてもう一つは……この箱の仕掛けが動く音だ」

「箱の仕掛けって、まさか」

空くんは何かに気づいたが、その他全員がポカンッと拓海先輩を見つめる。すると、深いため息が容赦なく返ってきた。

「これは、秘密箱だ」

呆れ交じりに、拓海先輩は言った。

「秘密……箱?」

──聞いたことないや、なにそれ?

そんな顔をするとまた、"この無知め"という視線のヤジが飛んでくる。無論、拓海先輩から。