「だから、僕には誕生日を祝ってくれる人なんていないんだよ」

「空くん……!」

堪らず、空くんを抱きしめた。

「来春……?」

空くんの寂しさが流れ込んでくるみたいに伝わってきたから、少しでもこの孤独感が和らげばとその小さな体を抱きしめる。

「空くんっ、空くんっ、空くんっ!」

「え、なに……」

──痛いの痛いの、飛んでいけ。

そんなおまじないが、本当に使えればいいのに。ヒシッと抱き着く私をどうしていいのかと戸惑っている様子の空くん。

そんな私達の後ろから、「……お前ら、何してるんだ」と困惑したような声がかかる。

部屋の入口を見れば、得体の知れないものを見たような顔でこちらを見る、拓海先輩が立っていた。