「え?」
──この手はカツアゲですか?
そうとしか思えない鋭い目つきに、私は椅子に座りながら身を仰け反らせた。そして、差し出された手を凝視する。
「貰ってやるって、さっきから言ってる」
「言ってませんよ!一言も!!」
──相変わらずわかりづらいけど……。
それでも、出会いたての頃なら絶対貰ってくれなかっただろうし、拓海先輩に気を許されているように思えて、嬉しくなった。
「はい、拓海先輩っ」
「……おう」
やっぱり受けとってくれるんだ。なんだかんだ言いながら、手紙を大切そうに両手で持ち直した拓海先輩に「ふふっ」と笑みが零れる。
「おい、笑うな」
「無理です~っ」
──だって、嬉しいんだもの。
引き締めようとしても、徐々に緩んでしまう顔は自分ではもうどうしようもないのだ。