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──俺はいつも、受動的だ。

自分の意思などそこには無く、他者に動かされるのをただ受け入れてきた。それは……怖かったからだ。

信じて裏切られて、人が遠ざかるあの絶望感。自分で望んだモノが崩れ落ちていくほど痛みも大きくて。あんな思いをするくらいなら、自分から望むのはやめようと自ら孤独になる事を選んだ。

だが、来春に出会ってからは変わった。忌々しいこの力が、誰かの希望に繋がっているのを気づかされた。

あいつが俺を信じる心が真っ直ぐだから、俺も信じたいと思ったのだろう。

パラパラと暗い空へと吸い込まれていくエピソード達をぼんやりと見上げる。失いたくない人達のために俺が出来る事。

マスターのエピソードに羽に触れるように優しく触れる。途端に光に包まれると、俺はそっと目を閉じた。

──今度は俺が望んで、この力を使う。