「いえ、さすがクールイケメンだなと思いまして」

「は?」

「拓海先輩、うちの学校でめちゃくちゃ人気なんですよ!」

「知らん」

──嘘、天然なの、この人。

それとも、単に興味ないだけなのか。あれだけ女子からのラブラブ光線浴びといて、知らないとは。購買では誰が後ろに並ぶかで醜い争いが起きてるくらいなのに、取り巻きの女子が不憫に思えた。

「拓海先輩、よくここの喫茶店通ってるんですか?」

深海さんも名前読んでたし、常連なのだろうか。

あ、でも拓海先輩、深海さんに「ただいま」って言っていたような気がする。

「俺は……」

拓海先輩が何かを言いかけた時。

「来春、出来た」

空くんがペンダントを手に、ヒョコッと店内に顔をのぞかせる。呼び捨てかい!と思いつつ、空くんの可愛いさに私はつい許してしまう。

「ありが……すご!」

「こんなの誰でも出来る。来春のは金具が歪んでただけだったから、輪に戻して繋げて、すぐ終わった」

それにしたって、元通りだ。チェーンはクラウンの牙で見事に裂けていたし、かなりの手間がかかったはず。