「拓海先輩しか、いません」

拓海先輩に真っ直ぐに伝える。この気持ちに曇など無い。

「拓海先輩は、希望です」

「その期待に応えてやる」

初めて、拓海先輩が不敵に笑った。その笑顔の力強さに心奪われる。

「マスター、知りたいんだろ」

「拓海くん……許されるのなら、私は知りたい」

みんなが、前に進もうとしている。その姿はとても眩しいものだなと彼等を尊敬した。

「雪さんがこの時計を私に預けた事を、後悔していないのか」

拓海先輩が「わかった」と頷く。そして、静かに始まりを告げるのだ。

「……鑑定を、始める」

金の懐中時計と鍵を手に、拓海先輩はそう言った。