「だけど……いいんですか?」

拓海先輩は進んで鑑定をする事は無い。前に鑑定の後、少し体調が悪そうだったのも気になっていた。

「鑑定、体に負担とか……」

「大丈夫だ、ここまで丁寧に扱われた懐中時計だからな。問題なく鑑定できる」

「拓海先輩……」

本当に?と言わんばかりの顔で拓海先輩の瞳を覗き込む。最近は感謝されるたびに嬉しそうな顔してたけど……。拓海先輩は自分の力を嫌っていたはずだ。

「もう、無関心でいたくない」

拓海先輩が、静かに噛み締めるように告げる。

「俺を受け入れてくれた人達には特に」

ずっと、理解されなくていいと言っていた拓海先輩が、変わったのだと気づいた。

「…………」

無言で、拓海先輩を見つめる。

込み上げるのは、喜び。やっと拓海先輩の内側に入ることが許されたのだと思ったからだ。