「……仕方ない、マスターのためだ」
オムライスを掬ったスプーンをお皿に戻しながらそう言った拓海先輩は、深海さんの方を向いた。
「マスター、心残りは解消しといた方がいい。そういうのは、ふとした瞬間に痛むもんだ」
拓海先輩の言う後悔。それはお母さんの事を言っているのかもしれないと、なんとなくそう思った。
「……そうですね、みなさんの言う通りかもしれません」
拓海先輩の言葉に考え込む深海さんは静かに頷くと、「……みなさん、ついてきくださいますか?」と意を決したように言った。
「もちろんですよ!!」
「ふふ、ありがとうございます」
意気込んで答えると、深海さんが笑顔になる。あ、少し表情が明るくなった。そこで私は重大な事に気づく。
「それで、雪さんって今どこにいるんでしょう?」
すると、みんなが「あ……」という顔になった。