「……? その制服、俺と同じ……」

「えーと、はい、1年の七海 来春です!」

「あっそ」

──ひえぇぇぇ~っ。

絶対零度ブリザード光線をモロにくらってしまった私は、胸の内で悲鳴を上げる。

そこまで冷たくされると、さすがに落ち込む。社交辞令でも世間話でもいいから、コミュニケーションを大事にして欲しい。

「なんの用だよ」

「しゅ、修理を頼んでます」

「リペアか」

そう言いながら、ドカッとカウンター席に腰を降ろす拓海先輩。

──やだ、沈黙気まずい。

早く深海さん戻ってこないかなぁと泣きべそをかきそうになりながら、店の奥に視線を向けると。

「おや、帰ってきてたんだね、拓海くん」

「あぁ……ただいま」

念願の深海さんが帰ってくる。待ってましたと言わんばかりに、私は胸を撫で下ろした。

「もう、そんな時間でしたか」

深海さんは胸ポケットから、金の懐中時計を取り出す。

「おや、こっちでは無かったですね」

──あれ……?

深海さんは一度取り出した懐中時計を胸ポケットにしまうと、ズボンのポケットから別の銀の懐中時計を取り出して時間を確認した。

──深海さん、懐中時計2つ持ってるんだ。