「にしても、あのテープレコーダーが幽霊の正体とはね!怖がり損だよ、全く!」
話を変えて、私は今日の愚痴をこぼす。本気でこの手の話題が駄目な私にとっては、ちょっぴり凪くんを呪いたい気分だ。
「あれ、言い忘れてたけど、テープレコーダー電源切れてたよ」
「……空くん、今なんておっしゃいました?」
──え、聞き間違いだよね、もう終わった事だしね。
でなきゃかなりヤバい、というかもうヤバい。ブルブルと体の芯から冷えるように震え出す。
「言い忘れてたが」
「まだあるんですか!?」
今度は、拓海先輩だった。もうやめて、聞きたくないと思いながら、知らないのも怖いので、つい拓海先輩の言葉を待ってしまう。
「あの鏡に、白い女が映ってた」
「え……と、それは、つまり……」
「昔から鏡の向こうは別世界、魔が潜んでると言うからな」
──マジか、あれは本当の幽霊……。
サァァァッと、血の気が引き、背筋が凍る。
「あ……あ……」
壊れたロボットみたいに、恐怖で言葉が出ない。
「おい、冗談……」
「いやぁぁぁぁぁぁあっ!!」
暗い夜空の下、私の悲鳴が響き渡ったのは、言うまでも無い。